Tスロットカッターとは？

切削加工の現場において、治具の固定、部品の結合、キー溝の形成など、多岐にわたる用途で不可欠なのが「T溝」です。この独特のT字形状を持つ溝は、その機能性ゆえに高い加工精度が求められますが、その実現には専用工具である「Tスロットカッター」の存在が欠かせません。

Tスロットカッターは、単に溝を掘るだけでなく、T字型のアンダーカット部分（奥まった部分）を効率的かつ高精度に仕上げることに特化して設計された切削工具です。その特徴的な形状は、細いネック部から広がる刃先を持ち、これによりワークの側面や底面をスムーズに加工することを可能にします。マシニングセンタやフライス盤において、通常の工具ではアクセスしにくい、あるいは複数工程を要するT溝加工を、一回のチャッキングで完結させる可能性を秘めています。この高い加工効率と精度は、生産性向上とコスト削減に直結するため、多くの精密部品製造現場でその重要性が再認識されています。

他の工具との違いとは？

Tスロットカッターとキーシードカッター、エンドミルはこれらの工具はすべて切削加工に用いられますが、その形状、切れ刃の配置、用途が大きく異なります。

	Tスロットカッター	キーシードカッター	エンドミル
工具形状	シャンク径より加工径が太い 先端に外周刃と側面刃を持つ	シャンク径と加工径がほぼ同じ または加工径がわずかに太い	シャンク径と加工径が同じ 先端と外周に切れ刃を持つ
切れ刃	外周と側面（通常3方向）に 切れ刃を持つ	外周のみに切れ刃を持つ	底刃と外周刃を持つ
主な用途	・T溝加工 ・アンダーカット加工 ・側面への特殊な溝加工	・キー溝加工 ・幅の狭い溝加工	・側面加工 ・穴あけ ・座ぐり加工 ・面取り加工
加工範囲	T溝加工に特化	幅の狭い溝、 主にキー溝加工	穴あけから側面、 底面の加工まで汎用性が高い

Tスロットカッターとキーシードカッターは形が似ていますが、Tスロットカッターは外周と側面に切れ刃があり、キーシードカッターは外周のみに切れ刃がついています。
Tスロットカッターは、その名の通りT字型の溝を効率的かつ高精度に加工することに特化しています。
キーシードカッターは、主にシャフトなどにキーをはめ込むための狭い溝（キー溝）を精度良く加工するのに特化しています。
エンドミルは、幅広い種類の加工に対応できる「汎用性の高い工具」であるといえます。
また、T溝加工においては、Tスロットカッターはシャンク部分に刃がついていないため、
エンドミルで縦溝を加工したのち、Ｔスロットカッターで仕上げを行います。

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Tスロットカッターの選び方

Tスロットカッターは、加工の精度や効率を大きく左右する重要な工具です。最適な一本を選ぶためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

①T溝の寸法・形状
 T溝の幅、深さ、そしてT字部分の底面の径など、加工したい溝の具体的な寸法を正確に把握することが最も重要です。カッターの刃幅、ネック径、刃長などが、ワークの寸法と合致しているかを確認してください。特殊なT溝形状の場合、市販品では対応できないケースもあります。

②加工対象の材質
 加工する材料が鉄、アルミ、ステンレス、特殊合金など、何であるかによって、適したカッターの材質（例：ハイス、超硬）や表面処理（コーティング）が異なります。硬い材料にはより高硬度のカッターを、粘り強い材料には切れ味を重視したカッターを選びましょう。

③使用する機械の特性
 マシニングセンタやフライス盤など、使用する工作機械の種類や、その機械の工具ホルダの仕様（シャンク径など）も選定の重要な要素です。機械の剛性や加工能力も考慮し、工具への負荷が適切かどうかを判断しましょう。

④求める精度と仕上げ面
 部品に求められる寸法精度や表面の滑らかさによって、カッターの種類や刃の枚数、加工条件を調整する必要があります。最終的な製品品質に直結するため、非常に重要なポイントです。

⑤ 耐久性とコスト
 工具の寿命は、加工コストに直結します。初期費用だけでなく、工具の再研磨のしやすさや、交換頻度などを考慮し、トータルでのコストパフォーマンスを評価しましょう。

これらの要素を総合的に考慮することで、貴社の加工ニーズに最適なTスロットカッターを選ぶことができます。

切削現場の課題を解決する、東鋼だからこそ可能なカッター提案

最適なTスロットカッターの選び方について解説してきましたが、市販品だけでは解決できない、より特殊な加工ニーズにお応えできるのが特殊精密切削工具.comです。

・多枚刃カッター、スレッドミルカッターのような、お客様のご要望に合わせた形で刃型を設定し、オーダーメイドで製作いたします。

・使用されているカッターの種類、加工条件、被削材等に合わせた最適な工具形状を提案いたします。

・自動車、工作機械、航空など様々な業界に合わせた高精度工具の製作が可能です。

当HPでご紹介しておりますカッター以外にも対応致します。

お客様のご要望に合わせてオーダーメイド品での工具製作をしておりますので、お求めの材質・寸法に関しては一度お問い合わせください。

＞＞カッターの工具事例はこちら

 

特殊精密切削工具.comによるTスロットカッターの工具事例

特殊精密切削工具.comが過去に製作したTスロットカッターをご紹介します。

こちらは、ハイス製のTスロットカッターです。
お客様より、「シャフトのエンドにコッター面を加工するためのカッターを製作してほしい」というご要望を頂きました。
そこで特殊精密切削工具.comでは、市販品の工具では対応できない形状があることを確認し、使用機械からTスロット形状のカッターを提案いたしました。その結果、ご要望のワーク形状に加工することができ、お客様にお喜びいただきました。

＞＞詳しくはこちら

Tスロットカッターの開発・設計・製作なら、特殊精密切削工具.comにお任せください

今回は、Tスロットカッターについて解説しました。Tスロットカッターの新規開発や既存工具の改造をご検討の際は、「切削理論」と「材料特性」を熟知している特殊精密切削工具.comにご相談ください。

当社では、創業から86年以上、お客様のご要望に合わせてオーダーメイドの工具を開発・製造してまいりました。お客様それぞれに世界一の究極の逸品の工具を作り上げることをモットーに最先端設備を揃えており、高精度な加工を実現する環境を整えてまいりました。工業界から医療業界と「人体から宇宙まで」幅広く、精度が必要な工具の納品実績が多数ございます。

Tスロットカッターの開発・設計・製作なら、特殊精密切削工具.comまでお問い合わせください！
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