海外製医療用ドリルの材質&形状変更による折損防止
こちらは、折損が多かった海外製医療用術具に対して、ドリル材質変更し、さらにウェブ厚や溝形状といった刃の形状を変更することで、折損防止を実現した技術提案事例です。
Before
今回のお客様は、イタリアの工具メーカーの医療用工具を使用していたとのことでした。しかし、手術中に工具が頻繁に折損しており、きちんと折損対策された工具が必要とのことでした。折損が多発してしまうと、工具コストがかさんでしまうことはもちろんのことですが、工具の破片が手術中に紛失してしまい、医療事故にもなりかねません。そのため、品質保証体制も整っている東鋼にご相談をいただきました。
After
そこで東鋼では、工具材質を靭性のあるステンレスに変更することをご提案いたしました。硬度は低下しますが、骨に穿孔するには充分な硬さの材質です。
さらに、ウェブ厚を厚くするように、刃の形状を変更することもご提案いたしました。また、お客様が使用されていたドリルにおいて、溝を加工する際の砥石の形状を見直すことで、ドリルが折れてしまうであろう部分の溝形状を角張らないようにR形状にしました。
このような材質と形状変更を行った結果、折損がなくなり、医療用術具を繰り返し使用可能になりました。
ここがポイント!
医療用術具としては、ステンレスを使用することが一般的です。その中でも、折損しないようにするためには、骨に穿孔できて、かつ靭性があるステンレスを選定します。しかし、材質を柔らかくしてしまうと、もちろん工具を使用する際に曲がってしまいます。このように、硬さ、機能、折損防止、という3つをバランスをとって両立させることができるメーカーが東鋼に限られたとのことでした。
そのため、折損もなく、また工具が曲がってしまうこともなく繰り返し使用できる医療用術具を製造できるメーカーは、世界的に見ても限られるのが現状です。しかし東鋼では、お客様にとって世界最高の工具をつくるという理念のもと、お客様に安心してご利用いただける医療用術具の開発を常に行っています。