技術コラム

- Column -

バックテーパとは?ドリル形状の特徴と役割

バックテーパ (Back Taper)とは?

リーマ、エンドミルにおいては、外周刃にわずかな「バックテーパ」と呼ばれるものがついています。これは、リーマの先端からシャンク(持ち手)に向かって、外径がわずかに小さくなるように設けられた傾斜のことです。つまり、リーマの後方部分が、先端部分よりも細くなっている形状を指します。

リーマ、エンドミルの各部の名称について詳しくは、下記ページをご覧ください。

>>リーマの基礎知識・各部の名称【切削工具の基礎知識シリーズ】

>>エンドミルの基礎知識【切削工具の基礎知識シリーズ】

バックテーパの役割と重要性

役割

①切削抵抗を低減:リーマ外周と穴内壁の摩擦を減らすことで、スムーズな切削を可能にし、工具や機械への負荷を軽減します。

②切削熱の抑制:摩擦抵抗の低減は、切削時の発熱を抑え、焼き付きや工具の摩耗を防ぎます。

③切屑排出性の向上:切屑が詰まりにくくなり、効率的な排出を促進することで、加工精度と効率を高めます。

➃加工面精度の向上:摩擦による加工面の荒れを抑え、より滑らかな仕上がりを実現します。これらの役割により、バックテーパは高精度な穴仕上げと工具寿命の延長に貢献します。

重要性

バックテーパは、リーマなどの切削工具において、加工精度、工具寿命、加工効率を大きく左右する重要な要素です。バックテーパがない場合、切削抵抗の増加、切削熱の発生、切屑排出性の低下、加工面精度の低下など、さまざまな問題が生じます。

まず、切削抵抗の増加は、工具や機械への負荷を高め、加工精度を低下させる原因となります。特に、深穴加工では、摩擦抵抗が大きくなるため、工具の振動やビビリが発生しやすくなります。また、切削熱の発生は、工具の摩耗や焼き付きを促進し、工具寿命を短くします。さらに、切屑排出性の低下は、切屑詰まりによる加工不良や工具破損を引き起こす可能性があります。

これらの問題は、加工精度を低下させるだけでなく、生産性の低下やコスト増加にもつながります。高精度な穴仕上げが求められる精密部品加工や、大量生産においては、バックテーパの有無が製品の品質と生産効率に大きく影響します。

そのため、適切なバックテーパ形状を選択することは、高品質な加工を実現するために不可欠です。工具メーカーは、加工条件やワーク材質に応じて、最適なバックテーパ形状を提案し、顧客の加工ニーズに応える必要があります。バックテーパの重要性を理解し、適切に活用することで、より高度な加工が実現可能になります。

特殊精密切削工具.comのリーマ・エンドミルのサービスについて詳しくは下記をご覧ください。

・特殊リーマ 開発サービス

・特殊エンドミル 開発サービス

・リーマの製品事例一覧

・エンドミルの製品一覧

 

切削工具に関するお困りごとは、特殊精密切削工具.comにご相談ください

今回は、エンドミルの刃数ごとの芯厚の違いについて解説しました。切削工具の新規開発や既存工具の改造をご検討の際は、「切削理論」と「材料特性」を熟知している特殊精密切削工具.comにご相談ください。

当社では、創業から80年以上にわたり、お客様のご要望に合わせてオーダーメイドの工具を開発・製造してまいりました。お客様それぞれに世界一の究極の逸品の工具を作り上げることをモットーに最先端設備を揃えており、高精度な加工を実現する環境を整えてまいりました。工業界から医療業界と「人体から宇宙まで」幅広く、精度が必要な工具の納品実績が多数ございます。

切削工具の開発・設計・製作なら、特殊精密切削工具.comまでお問い合わせください!