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スローアウェイチップとは?使用材種やその特性についてご紹介

スローアウェイチップとは

スローアウェイチップとは、旋盤加工・旋削加工やフライス加工で多く用いられる切削工具であるスローアウェイ工具に使用されるチップのことを言います。スローアウェイ工具はチップとボデーを機械的な仕組みによって締結し、簡便に交換できる構造のバイトでスローアウェイは日本固有の呼び方であり、海外では「インデキサブル工具」と呼ばれたりしています。スローアウェイチップをホルダーにセットし、実際に削る先端部分のみをネジなどによって取付、取り換えられる形式になっており、摩耗や破損により切れ味が悪くなった際には、刃先を研磨する必要がなく、チップのみを交換するだけで切れ味の再現性の確保が可能となります。そのため、チップの脱着に関する知識さえあれば、スローアウェイ工具はホルダを共通化することが出来るため生産性に優れており、さらにチップのみを購入すればよいので工具費を抑制できる点からコスト面でも優れております。このため、金属加工で使用される切削工具は刃先交換式の工具が主流として用いられています。

 

スローアウェイチップの材質と特性とは

スロッターバイトのチップとして、一般的に使用されている材種を大別すると9種類ございます。

①ダイヤモンド・PCD

②CBN

③セラミックス

④サーメット

⑤CVDコーティング超硬合金

PVDコーティング超硬合金

⑦超硬合金

⑧ハイス

主に⑦超硬合金は金属切削に使用されるチップの約80%を占めており、最も使用されているチップ材種です。これは、超硬合金が「硬さ」と「粘り強さ」の両方を備えているためです。硬度を実現しているのは、炭化タングステンとコバルトの粉末を混合し、1400℃程度の高温かつ約10~100MPaの高圧力で焼き固めているからです。その超硬合金チップは、記号や色によって判別できるよう、それぞれを表すアルファベット1文字と色が規格化され、被削材に適した目安として表示されています。

①鉄鋼(P/青)

②ステンレス鋼(M/黄)

③鋳鉄(K/赤)

④アルミニウム合金(N/緑)

⑤チタン合金(S/茶)

⑥焼入れ鋼(H/灰)

 

スローアウェイチップに求められる性質とは?

スローアウェイチップに求められる性質としては大きく6つの性質を有しています。

①硬い

機械加工では金属をはじめ木材やプラスチックなどいろいろな材料を削るために、チップが削る材料よりも硬いことが必須条件です。一般的に、安定に削るためにはチップは削る材料の3倍以上の硬さが必要です。

②粘り強い

旋盤加工ではワークが回転し、バイトが直線・曲線運動することによってワークの不要な個所を削り取る加工法であるため、バイトの刃先とワークは常に接触する連続切削と呼ばれています。この接触を繰り返す連続切削では、チップが欠けてしまっては刃物として使用することができないので、粘り強さが必要となります。

③熱に強い

連続切削では、摩耗が激しく摩耗熱も高くなります。実際にチップが材料と接触する切削点では2000~5000Mpa以上かつ800~1200℃以上の高圧・高温になるといわれています。チップは高圧・高温の厳しい環境下でも、硬さが低下しない性質が重要となります。

④化学的に安定している

高温・高圧状態では化学反応しやすい状態です。そのため、チップが削る材料と化学反応すると、異常摩耗してしまうため、チップには高温・高圧状態でも化学的に安定しているという性質が求められます。

⑤熱伝導率が高い

連続切削で使用されるために、材料を削る際に発生する熱がチップに溜まると、蓄熱によりチップが一層高温になるため、チップにはすばやく熱を伝達する性質が必要です。

⑥摩擦係数が低い

材料を削った際に発生する切りくずはチップの表面を滑りながら排出されるため、チップの表面が滑らかで摩擦係数が小さいほど、切りくずの流出が円滑になり、切削抵抗の低減と仕上げ面粗さの向上につながります。

 

当社の工具事例をご紹介

こちらの工具は、刃型寸法レンジ 20µmのスローアウェイ総型バイトチップです。輸送用機器をはじめ、建設機械、航空宇宙と幅広い業界で使用されています。工具の特徴としては、ワークへ切り込むことで刃の輪郭形状を加工物に転写することができるバイトです。複雑な形状も一度の加工で輪郭を出すことが出来ます。自動盤、汎用旋盤、NC旋盤など機械に合わせたシャンク設定を致します。

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今回はスローアウェイチップについてご紹介をさせていただきました。スローアウェイチップはスローアウェイ工具の先端に装着するチップで簡単取り替えで切れ味の良い加工を実現します。材質として超硬合金が多いですが、当社ではお客様のご要望に合わせて、材質のご提案をさせていただきます。

当社では創業から84年以上、お客様のご要望に合わせてオーダーメードの工具を開発・製造してまいりました。お客様それぞれに世界一の究極の逸品の工具を作り上げることをモットーに最先端設備を揃えており、高精度な加工を実現する環境を整えてまいりました。工業界から医療業界と「人体から宇宙まで」幅広く、精度が必要な工具の納品実績が多数ございます。

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