技術コラム

- Column -

切削工具の種類と特徴をご紹介!

切削加工とは

切削加工とは、機械加工の一つで金属や樹脂を刃物で削り取ることで適切な形状に成形する加工方法です。また切削加工は材料の余分な個所を削り取ることから別名除去加工とも呼ばれることもございます。

切削加工は大きく「旋盤加工」「フライス加工」「穴あけ加工」の3つに分類されます。それぞれについて、旋盤加工ではNC旋盤と自動盤、フライス加工ではNCフライスとマシニングセンタ、穴あけ加工ではNCボール盤とタッピングセンタという工作機械が使用されています。切削加工で使用する工作機械の多くは、コンピュータでの制御のため材料の大きさや厚さ、さらに形状に合わせて精密にプログラム構築をすることで高品質な加工品の製作を可能とします。

 

切削加工で使用する工具の種類について

切削加工で使用する工具は転削加工と旋削加工では切削工具に求められる条件が異なります。例えば、旋盤加工では切削工具が材料に衝突するのは加工開始時の1回のみで衝撃力はこの瞬間しか作用しません。衝突後、バイトの刃先は回転する材料に常に接触していることになるため連続的な接触に耐え得る耐摩耗性が求められます。

一方でフライス加工では切削工具と材料が接触、非接触を繰り返すために、衝突する度に大きな衝撃力が作用します。そのためにフライス加工で使用する工具には断続的に発生する衝撃に耐え得る粘り強さが求められます。

このように加工方法によって選択する切削工具は異なります。ここでは、切削加工で用いられる切削工具の種類について加工方法別をご紹介します。

 

1旋盤加工

旋盤加工で使用する切削工具はバイトです。バイトは刃が一つの単刃工具で柄の部分を「シャンク」、刃部を「チップ」、チップを取り付ける座の部分とシャンクを合わせて「ボデー」と言います。バイトはこのチップとボデーの結合方法によりいくつかの種類に分類されます。

 

①スローアウェイバイト

スローアウェイバイトとは、刃先が摩耗や欠損した場合に容易にチップを交換後、ねじや押え金でシャンクに固定する構造のバイトを指し、別名クランプバイトとも呼びます。チップの交換のみで使用することが出来る点から、生産性とコスト面で優れているため、現在ではバイトの主流として用いられています。

>>スローアウェイチップとは?使用材種やその特性についてご紹介

 

特殊精密切削工具.comでは、スローアウェイホルダー、スローアウェイチップ等、HPの事例で紹介しているスローアウェイ式工具に加え、お客様のご要望に合わせオーダーメイド品を製作しており、建設機械用、鉄道用など精度やサイズが異なる幅広い業界にも納品しております。工具をお客様の製品の使用環境に合わせて材料の選定から工具の設計のご提案させていただいており、サンプルや製品図面の最適なご提案をさせていただいております。

>>スローアウェイ式工具の工具事例はこちら

 

②ろう付けバイト

ろう付けバイトとは、チップをボデーにロー付けした構造のバイトを指し、別名付け刃バイトとも呼びます。使用用途によって変わりますが、ろう付けバイトはチップをグラインダーで成形してから使用します。そのため、スローアウェイバイトで削ることが難しい特殊形状の場合に選定されます。

 

③完成バイト

完成バイトとは、熱処理された高速度工具鋼製のむく(solid)の工具のことです。断面が、丸、正方形、長方形、台形の形状で端面を除き、研磨されています。使用時は刃部を成形してから用います。

>>完成バイト、突っ切りバイトに関する専門サイトはこちら

 

特殊精密切削工具.comでは、溝入れバイト、ねじ切りバイト、ノッチ加工用バイト等、HPの事例で紹介しているバイトに加え、お客様のご要望に合わせオーダーメイド品を製作しており、航空機用、自動車用など精度やサイズが異なる幅広い業界にも納品しております。工具をお客様の製品の使用環境に合わせて材料の選定から工具の設計のご提案させていただいており、サンプルや製品図面の最適なご提案をさせていただいております。

>>バイトの工具事例はこちら

 

 

3穴あけ加工

穴あけ加工では、穴の精度や目的によって様々な種類がございますが、一般的に穴をあけるドリルと穴をあけた後に穴の精度を整えたり表面をきれいにするリーマという工具に分類されます。

 

①ドリル

ドリルとは、フライス盤で使用するエンドミルと似た形状を持ち、軸方向に推進し、円形の穴をあける切削工具です。ドリルは構造によって分類することや刃部の材料で分類すること、さらにはシャンクの形態によって分類することがございます。例えば、構造で分類する場合には、刃部とシャンクが全て同じ材質で一体となっているソリッドドリルや切れ刃に超硬チップをろう付けした付刃ドリル、ドリル先端に超硬などの工具材料をろう付けした先むくドリル、さらにはソリッドドリルの先端部を交換式にしたヘッド交換式ドリルがございます。これらはワークや使用機械の種類によって使用する種類が異なります。

>>ドリルの基礎知識・各部の名称【切削工具の基礎知識シリーズ】

>>ドリルの逃げ面の2種類の形状

>>ドリルの逃げ角の設定角度

>>ドリルのシンニング形状の種類

>>サブランドドリルの特徴・メリット

>>ローソクドリルと一文字ドリルの違いとは?

>>ドリルの加工時に起きるトラブルとその対策について

>>段付きドリルのよくあるトラブルとその対策

 

特殊精密切削工具.comでは、段付きドリル、バニシングドリル、サブランドドリル等、当HPの事例で紹介しているドリルに加え、お客様のご要望に合わせオーダーメイド品を製作しており、航空機用、医療用などの精度が要求されるような業界にも納品しております。ドリルの材質として、基本的には超硬とハイス材、医療用ドリルとしてはステンレスにも対応しております。刃径は最小Φ0.7から最大Φ40mmまで製作実績がございます。

>>ドリルの工具事例はこちら

>>ハイスとは?材質の種類・特徴・超硬との違いまで解説!

>>ハイス切削工具の熱処理におけるポイントとは?

 

また当社では、既存の段付きドリルの改造依頼も非常に多くいただいております。① 折損 ② 切屑の巻き付き ③ 加工径寸法が出ない といった問題に該当する悩みをお持ちのお客様はぜひお気軽にご相談ください。ドリル自体の問題から加工ワークに対する問題まで多くの悩みをいただいています。

>>段付きドリルの工具事例はこちら

 

②リーマ

リーマとは、ドリルであらかじめ切削した穴を要求された精度と面相度に仕上げる工具のことを指します。そのため、リーマ自体には穴あけをする能力はありません。リーマもドリル同様に構造によって分類することや刃部の材料で分類すること、さらには取り付け方法によって分類することがございます。例えば、構造で分類する場合には、刃部とシャンクが全て同じ材質で一体となっているソリッドリーマや刃部とシャンクが溶接された溶接リーマ、刃部をろう付けしたろう付けリーマ、スローアウェイチップを機械的に取り付けた植刃リーマなどがございます。こちらもワークや使用機械の種類によって使用する種類が異なります。

>>リーマを正しく使用するための選定ポイントとは?

>>リーマの加工時に起きるトラブルとその対策について

 

特殊精密切削工具.comでは、スパイラルリーマ、バニッシングリーマ、段付きリーマ等、当HPの事例で紹介しているリーマに加え、お客様のご要望に合わせオーダーメイド品を製作しており、航空機用、医療用などの精度が要求されるような業界にも納品しております。リーマの材質として、基本的には超硬とハイス、サーメットに対応しております。お客様の製品に応じて最適なコーティングをご提案させていただいております。

>>リーマの工具事例はこちら

 

 

4その他の特殊加工

その他にも、総型加工や、キー溝加工、ヘール加工など、当社では特殊な切削加工に必要とされる特殊精密切削工具の製作も行っております。

 

①総型バイト

総型バイトは、ワークの輪郭に合わせて工具を成形し、押し当てて加工する工具のことです。先端が任意な形状をする総型バイトでは、一回の加工で外周や正面に多様な輪郭形状や複雑な形状の加工を可能にします。

特殊精密切削工具.comでは、超硬ロー付け総型バイト、ダブテールフォームツール、スカイビングフォームツール等、当HPの事例で紹介している総型系工具に加え、お客様のご要望に合わせオーダーメイド品を製作しており、輸送用機器用、建設機械用などの精度が要求されるような業界にも納品しております。わずか1回で外周や正面に多様な輪郭形状を加工を実現する総型系工具の製作では、ご要望に応じ溝入れ、R加工を致しております。またダブテールフォームツールの製作では、アリ溝で保持するために、芯高調整も簡単で再研磨も容易となるよう設計しております。

>>総型バイトのメリットとは?当社の事例もご紹介!

>>総型工具の工具事例はこちら

 

②キーシーターカッター

キーシーターカッターとは、キー溝加工に使用される工作機械のキーシーターに装着する切削工具のことを指します。キー溝は、動力をギアなどへ伝える際に空回りしないよう、マシンキーと呼ばれる固定材を取り付ける為に、シャフト内径に切られた長方形断面の溝を指します。キーシーターは、キーシーターカッターが上下に運動することによりキー溝を作製する加工方法でストローク長が長いことから、全長の長いワークや複数のワークを重ねた状態でも加工することが出来ます。そのため貫通した内径穴があるワークへの加工に適しています。

>>キーシーターカッターとは?他の工具との違いやトラブル事例についてご紹介

>>キー溝加工用工具の工具事例はこちら

 

③ヘールバイト

ヘール加工は、マシニングセンターでバイトを進行方向に平行に動かす特殊な切削方法です。ヘール加工は製品の突端平面加工やシール面の溝加工にも利用されます。

ヘールバイトは、高精度な溝加工やシール面加工を可能にする特殊な切削工具であり、特に真空用途や高気密性が求められる場面で使用されています。一般的なエンドミルとは異なり、バイトの刃先を直線的に動かすことで、ツールマークを残さない滑らかな仕上げが得られる点が大きな特徴です。

>>ヘール加工とは?真空用途でニーズが高まっている特殊ヘールバイトをご紹介

 

④スロッターバイト

特殊精密切削工具.comでは、ヤマゲスロッター機、中坊鉄工所製スロッター機、また各種NC機に合わせた形でスロッターバイトを製作しておりますが、お客様のご要望のワーク形状に合わせた形で刃型を設定しオーダーメイドで製作致します。建設機械用、鉄道用などの精度が要求されるような業界にも納品しております。当HPでご紹介しております角溝以外にも、円弧形状やインボリュートスプライン形状も対応致します。

>>スロッターバイトの工具事例はこちら

 

⑤錐

特殊精密切削工具.comでは、平錐、半月錐等、HPの事例で紹介している錐に加え、お客様のご要望に合わせオーダーメイド品を製作しており、建設機械用、空調機械用など精度やサイズが異なる幅広い業界にも納品しております。工具をお客様の製品の使用環境に合わせて材料の選定から工具の設計のご提案させていただいており、サンプルや製品図面の最適なご提案をさせていただいております。

>>錐の工具事例はこちら

 

⑥カッター

特殊精密切削工具.comでは、多枚刃カッター、スレッドミルカッターのようなお客様のご要望に合わせた形で刃型を設定しオーダーメイドで製作致します。自動車、産業機器のような人命を預かるために厳しい精度が要求されるような業界から、嗜好品、文具といったニーズが異なる業界にも数多く納品しております。当HPでご紹介しておりますカッター以外にも対応致します。

>>カッターの工具事例はこちら

 

⑦医療用術具

特殊精密切削工具.comでは、人工関節置換手術の際に使用する骨を削る医療用切削術具のご依頼から始まり、現在ではISO13485と第二種医療機器製造販売業許可を取得して医療機器メーカーとしてのノウハウを蓄積しており、オメガドリルやパールリングと言った独自の製品の製作も行っております。人体と接触する製品であるために、お客様の求める制御能力に加え、厳しい検査・品質管理をクリアし続けて、多くの医療従事者の信頼を獲得してまいりました。ご依頼いただく製品のほとんどがオーダーメイドで製作致しております。ご要望に合わせて製作致しますので、ぜひお声がけください。

>>医療用術具の工具事例はこちら

 

⑧その他

こちらは切削工具ではありませんが、特殊精密切削工具.comでは、スポットピン、リング、ローラーというような一般にはなじみの薄い工具の製作を行っております。これらの工具をお客様の製品の使用環境に合わせて材料の選定から工具の設計のご提案させていただいており、サンプルや製品図面の最適なご提案をさせていただいております。

>>その他工具の工具事例はこちら

 

当社の工具事例をご紹介

こちらの事例は、ワークへ切り込むことで刃の輪郭形状を加工物に転写することができるバイトです。複雑な形状も一度の加工で輪郭を出すことが出来ます。自動盤、汎用旋盤、NC旋盤など機械に合わせたシャンク設定を致します。

>>加工事例はこちら

 

ラフィング付きエンドミルとは、外周刃に波形の凹凸があるエンドミルのことを指します。ラフィング(roughing)エンドミルという名前の通り粗削り専用のエンドミルで、切削代も通常のエンドミルと比べると大きくすることができ、重切削を可能とします。

>>加工事例はこちら

段付きドリルは刃径が2段以上あり、1回の加工で2段、3段の加工が可能なドリルです。段付きであるため1工程で加工する為、同軸度が保証されます。また、複数のドリルを使用する事が無い為、サイクルタイムも短縮されます。

>>加工事例はこちら

精密切削の製作なら特殊精密切削工具.comにお任せ下さい!

今回は切削工具の種類についてご紹介をさせていただきました。加工方法によって、工具の用途や求められる工具材質がございますので適切な工具の選択が必要となります。

当社では創業から84年以上、お客様のご要望に合わせてオーダーメードの工具を開発・製造してまいりました。お客様それぞれに世界一の究極の逸品の工具を作り上げることをモットーに最先端設備を揃えており、高精度な加工を実現する環境を整えてまいりました。工業界から医療業界と「人体から宇宙まで」幅広く、精度が必要な工具の納品実績が多数ございます。

切削工具にお困りの方は、特殊精密切削工具.comまでお問い合わせください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

>>加工事例はこちら

>>選ばれる理由はこちら