技術コラム

- Column -

  • TOP
  • 技術コラム
  • エンドミル製作の上で刃数と刃長が重要な理由とは?

エンドミル製作の上で刃数と刃長が重要な理由とは?

エンドミルとはどのような工具?

エンドミルとは、外周面及び端面に切れ刃を持つシャンクタイプのフライス工具で、フライス盤やマシニングセンタで使用され、ワークの上面、側面、ポケット、溝等を加工する工具です。エンドミルの形状はドリルとよく似ていますが、ドリルは軸方向に推進し穴をあけるのに対し、エンドミルは軸に直交する方向に移動しながらいろいろな形状を加工をする工具です。

エンドミルは大きく分けてフラットエンドミルとボールエンドミルの2種類がございます。フラットエンドミルとは、先端が平坦で外周刃と底刃の2つの刃を持ち、外周刃で被削物の外周を切削し、底刃で被削物の上面を加工する工具です。エンドミルの中では最も汎用性の高いものになります。ボールエンドミルは点当たりで加工する工具で、CAMを利用してプログラミングすることで複雑形状かつ曲面加工の加工を可能とします。

>>ドリル刃を精密加工する際のポイントについてはこちら

エンドミルを選定する上で、刃数が重要になる理由とは?

エンドミルには構造や材質、形状とさまざまな種類がありますが、目的に沿った最適なエンドミルを選ばなければ、加工速度や精度が落ちたり仕上げが悪くなったり、最悪の場合は機械や工具を壊してしまう可能性がございます。 これらを考慮した上で、エンドミルの選定には刃数は重要となります。刃数が少なければ切屑を収容するチップポケットと呼ばれる空間が大きくなるために、切屑の排出能力が増大し大きな切込みが可能になります。したがって、溝加工や粗削りのような切り込み量を求められる場合には選ばれますが、一方で高精度の加工を要する場合には工具断面積と芯厚が小さくなるため、剛性が低くなりたわみが起こりやすくなるために切削トラブルを引き起こします。そのような加工の場合には、刃数を増やし切り込みを小さくして切削抵抗を小さくし、回転と送りを上げて加工スピードを上げる事で加工時間を短縮します。これらのようにエンドミルの刃数が異なれば切り屑排出量や剛性、ビビリ耐性といった様々な性能の差が表れますので、求める切削能力に適した刃数の選定が重要となります。当社では加工条件に合わせ、切削方式により2~6枚の刃数を提案しております。基本的には刃数が多い方が加工時間が短くなります。しかし刃数が多くなると深い切り込みは出来なくなります。溝加工をする場合は切屑の排出を考慮して刃数は2枚を基準とします。

エンドミルを選定する上で、刃長が重要になる理由とは?

先述のようにエンドミルの選定における刃数の重要性に加え、刃長も選定ポイントの一つとなります。刃長は加工する形状の深さや精度に合わせて選ぶことが重要となります。通常は、刃長は加工部の長さより少し長くしなければなりませんが、必要以上に長くすることで突出し長さも長くする必要があり、剛性が弱まる場合がございます。エンドミルのたわみ量は突き出し長さの3条に比例するために少し長くなるだけ大きなたわみ量となり、それと比例して大きな倒れを誘発することになります。突き出し量の多いエンドミル製作においては、超硬仕様での製作が有効的でございます。当社では、ストレート刃であれば300mmまで製作実績がございます。ただし、エンドミルは刃径に対して加工長さはある一定比率の限界があります。径と刃長のバランスを考慮する必要がございます。

当社の工具事例をご紹介

ラジアスエンドミルとは、スクエアエンドミルの底刃コーナー部をR状にしたエンドミルをいいます。また、コーナーRエンドミルなどとも呼ばれます。ラジアスエンドミルは切削加工した縦横の面と面の境にRができるためそのような仕上げを求められたときに使用します。また、スクエアエンドミルでコーナーがチッピングし易い時にもラジアスエンドミルを使う事で、コーナーのチッピングを低減させる事が可能です。

>>加工事例はこちら

ラフィング付きエンドミルとは、外周刃に波形の凹凸があるエンドミルのことを指します。ラフィング(roughing)エンドミルという名前の通り粗削り専用のエンドミルで、切削代も通常のエンドミルと比べると大きくすることができ、重切削を可能とします。構造的には、外周の逃げ面が波状であることから切削抵抗を抑えることができ、波状の谷の部分は被削材との隙間ができるので切削油の浸透性が高く、切りくずの排出性にも優れています。

>>加工事例はこちら

ボールエンドミルは、平面や凹凸、曲面など、多様な形状を成形できる多機能万能工具です。切削加工精度や工具寿命に大きな影響を及ぼす先端のR精度が一般的には±10㎛の所、当社では±5㎛までの精度を実現させることが可能です。

>>加工事例はこちら

精密切削の製作なら特殊精密切削工具.comにお任せ下さい!

今回はエンドミルを製作する上で重要なポイントについてご紹介をさせていただきました。刃数の数が少ない場合には切削抵抗が少ないために切り込み量が多いワークの加工に適しています。一方で刃数の数が多い場合には工具剛性が大きくなるために高精度の加工を要する場合に適しています。

当社では創業から84年以上、お客様のご要望に合わせてオーダーメードの工具を開発・製造してまいりました。お客様それぞれに世界一の究極の逸品の工具を作り上げることをモットーに最先端設備を揃えており、高精度な加工を実現する環境を整えてまいりました。工業界から医療業界と「人体から宇宙まで」幅広く、精度が必要な工具の納品実績が多数ございます。

切削工具にお困りの方は、特殊精密切削工具.comまでお問い合わせください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

>>お問い合わせはこちら

>>資料ダウンロードはこちら