技術コラム

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ハイス切削工具の熱処理におけるポイントとは?

切削工具の熱処理に関わるよくある悩みとは?

ハイス切削工具の熱処理|特殊精密切削工具.com

熱処理とは金属を加熱・冷却することで生じる組織変化を活用し、素材の性質(強さ・硬さ・粘り・耐衝撃性・耐摩耗性)を向上させる処理方法です。

工具製造に欠かせない熱処理ですが、

  • 熱処理が必要な時もあるが頻度は高くない
  • 少量生産なので熱処理設備を購入できない

といった理由から、熱処理を外注先に依頼する工具メーカーが少なくありません。

 

外注先に依頼する場合も、技術者は、切削工具の材質、形状、用途、使用環境、被削材、使用する工作機械に応じて最適な熱処理方法を選定できる知識を身につけておく必要があります。

例えば、

  • 先端が折損しやすい
  • 摩耗が早い
  • 腐食しやすい環境で使用する

など様々なケースがありますが、各々について最適な熱処理方法があります。

しかし、一口に熱処理と言っても、浸炭焼入れ・高周波焼入焼戻し・窒化処理・真空熱処理など種類が非常に多いため、「どの熱処理が良いのか分からない」と悩まれている技術者の方も多いようです。

 

ハイス切削工具の熱処理におけるポイントとは?

ハイス切削工具の熱処理|特殊精密切削工具.com

切削工具の材質の大部分を占めるハイスは、高硬度と高靭性を兼ね備えた素晴らしい材質です。

ハイスは、

  • タングステン系
  • モリブデン系

の2種類に分類されます。

一般的に、安価で加工がしやすいモリブデンが主流となっていますが、高温に弱いという特性を持つため、その場合は熱に強いタングステンが用いられるケースが多いです。

 

このように、被削材・加工方法など、状況に応じて使い分けをしています。

ハイスは特に炭素の含有量が高く、またバナジウムなど硬い炭化物を生成する元素を多量に含んでいるため、熱処理によって歪みが起きやすいという特徴があります。このような理由から、ハイスの性能を充分に引き出すためには熱処理方法の選定が非常に重要になります。

ハイスの硬度を向上させたい場合は、焼入れ温度を1200℃~1300℃に上げて炭化物を充分に固溶させる必要があります。その後560℃の高温焼戻しを施し、「二次硬化」という現象を活用して高硬度を実現します。二次硬化とは、焼入れ後に高温で焼戻しを行うと再硬化するという現象です。

ただし、焼入れ温度を高くすると靭性が低くなるというデメリットがあるため、

  • 複雑形状の工具
  • 衝撃のかかる工具
  • 比較的長尺の工具

については、若干低めの焼入れ温度を選定する必要があります。

焼入れ後の冷却方法は一般的には油冷または衝風ですが、焼割れの起こりやすい工具の場合は、熱溶等温冷却を推奨します。なお、小径長尺の工具や平たい形状の工具は空冷する場合もあります。

 

ハイス切削工具の熱処理炉の違い

ハイスの熱処理に使用する炉は、真空炉と塩浴炉の2種類が代表的です。

真空炉の長所・短所

真空炉の長所はプログラムによる自動運転が可能な点です。真空のためワークが黒く変色しない処理が可能で、一度に多量の処理を行うことができます。短所は、材質ごとに温度を調整する必要があるため、数種類の材質を同バッチで処理することが難しいことです。また、熱処理時間が長いため、結晶粒の粗大化を招く可能性もあります。

 

塩浴炉(ソルトバス)の長所・短所

塩浴炉の長所は容易に温度変更ができる点です。また、塩浴中の加熱であるため、真空炉同様に脱炭が少ないです。短所は、熱処理後の洗浄・防錆処理を適切に行わなければ錆が発生してしまうことです。

 

熱処理設備を持つ当社の強みとは

特殊精密切削工具.comでは、自社で各種熱処理設備を保有しております。

具体的には、

  • 大気式電気炉1台
  • 熱風式電気炉1台
  • 塩浴式電気炉4台
  • 熱処理後の洗浄装置、温度校正炉 等

を保有しております。

多くの工具メーカーでは、熱処理工程は外注として、専門業者に依頼するケースがほとんどです。しかしながら、当社では外注に任せることなく、熱処理から工具の加工まで、責任をもって対応するべきであると考えているため、熱処理設備を多数保有しております。

>>設計~熱処理~製造まで担う精密切削工具の一貫生産体制

 

ハイス切削工具の製作事例

特殊精密切削工具.comが過去に製作したハイス切削工具をご紹介します。

①面取りバイト

ハイス切削工具の熱処理|特殊精密切削工具.com

こちらは自動車業界で使用されるサイズが12×10×85.5のハイス製面取りバイトです。

お客様よりこれまで製造してもらっていたメーカーが製造を取りやめることになり、同等以上の品質で製造できるメーカーを探していたところ、当社にご依頼をいただきました。

>>詳しくはこちら

 

②4枚刃リーマ

ハイス切削工具の熱処理|特殊精密切削工具.com

こちらは自動車業界で使用されるサイズが12×10×85.5のハイス製面取りバイトです。

お客様よりこれまで製造してもらっていたメーカーが製造を取りやめることになり、同等以上の品質で製造できるメーカーを探していたところ、当社にご依頼をいただきました。

>>詳しくはこちら

 

③特殊突切りバイト

ハイス切削工具の熱処理|特殊精密切削工具.com

こちらは輸送用機器業界で使用されるサイズが6×11.8×140のハイス製突切りバイトです。

依頼背景としては、バネ加工機用の突切りバイトであるが、摩耗が早いために対策を検討して欲しいとご相談をいただきました。

>>詳しくはこちら

 

④2枚刃キーシーターカッター

ハイス切削工具の熱処理|特殊精密切削工具.com

こちらはFA、生産設備業界で使用されるサイズが9.5×8×70のハイス製2枚刃キーシーターカッターです。

お客様の既存工具ではロット内の刃幅精度のバラツキがあり、品質が安定していないためにご依頼をいただきました。

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切削工具の製造をご検討の際は、当社にご相談ください

特殊精密切削工具.comでは、創業から86年以上にわたり、お客様のご要望に合わせてオーダーメイドの工具を開発・製造してまいりました。お客様それぞれに世界一の至極の逸品の工具を作り上げることをモットーに最先端設備を揃えており、高精度な加工を実現する環境を整えております。工業向けだけでなく医療向けまで、いわば「人体から宇宙まで」幅広く、高精度工具の納品実績が多数ございます。

 

切削工具の製造をご検討の際は、工具のよくあるトラブルや最適な熱処理方法を熟知している特殊精密切削工具.comにご相談ください。

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