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キーシーターカッターとは?他の工具との違いやトラブル事例についてご紹介

キーシーターカッターとは?

キーシーターカッターとは、キー溝加工に使用される工作機械のキーシーターに装着する切削工具のことを指します。キー溝は、動力をギアなどへ伝える際に空回りしないよう、マシンキーと呼ばれる固定材を取り付ける為に、シャフト内径に切られた長方形断面の溝を指します。キーシーターは、キーシーターカッターが上下に運動することによりキー溝を作製する加工方法でストローク長が長いことから、全長の長いワークや複数のワークを重ねた状態でも加工することが出来ます。そのため貫通した内径穴があるワークへの加工に適しています。
キーシーターカッターを製作する上では衝撃に強い材質が求められるために靭性が求められます。当社では基本的にSKH55と粉末ハイスを使用しています。SKH55は硬度と靭性のバランスが取れており一番使用されております。粉末ハイスは特殊な製法により微細な組織構造になっていることや、多くの炭化物を含有させることが出来ることで、靭性と硬度の両方を兼ね備え、耐摩耗性にも優れております。高硬度のワークを加工する際には、耐摩耗性に優れた高硬度材用コーティングを提案しております。また、超硬にする事も一つの方法として提案しております。

>>製品事例『キー溝加工用工具』はこちら

>>サービス『特殊キー溝加工工具 開発サービス』はこちら

>>よくある質問『キーシーターについて』はこちら

 

スロッターバイト、ブローチ刃との違いとは?

リキーシーターカッターはスロッターバイトやブローチと混同されやすい切削工具です。それぞれの工具との違いについて下記にご紹介を致します。

①キーシーターカッターとスロッターバイトの違い

キーシーターカッターとスロッターバイトは、共にワーク内径にキー溝を加工する役割で使用されます。要求されたキー溝形状と同じ形状で成形されている両工具は、刃の上下運動を繰り返し、複数回を切り込む事で要求されたキー溝を加工します。キーシーターカッターは、ワーク内径が貫通している場合にのみ使用出来るのに対してスロッターバイトは、ワーク内径が貫通していない止まり穴の場合でも使用することが可能です。 また、キーシーターカッターはキーシーターに取り付けるのに対して、スロッターバイトは主にスロッター機に取り付けて使用します。

切削能力では、キーシーターは機械自体の剛性が高い上に、刃が上から下へ引っ張られるように加工されることでブレが少なく切削力が高いことから、一度に加工出来る切削幅が3~100㎜程度と幅広い加工に適しています。対して、スロッターは刃が上から下へ押されて加工されることで刃先がブレることがあるため、一度に加工出来る切削幅が30mm程度しかありません。

②キーシーターカッターとブローチの違い

キーシーターカッターは、基本的には要求されたキー溝幅とほぼ同じ寸法の刃を1~2枚有する工具で、刃の上下運動を繰り返し、複数回切り込む事で要求されたキー溝を加工します。 一方のブローチは、幅や高さが段階的に大きくなっていく複数の刃を持ち、最後の刃が要求されたキー溝形状になるように設定されています。そのため1度の刃の上下運動で加工が完了することが特徴の工具です。使い分けとしてキーシーターカッターは少量から中量生産向け、ブローチは大量生産向けで分類されています。

キーシーターカッターで起きやすいトラブル事例とは?

キーシーターカッターも他の工具と同様に切削時のトラブルは付き物です。今回は中でもトラブルが多い①溶着、②欠損・破損、③摩耗の3つについてご紹介をします。

>>よくある質問『キーシーターのトラブルシューティング』はこちら

1.カッター側面に溶着が発生する

キーシーターカッターは、被削材に対してマージン部が常に擦れることで側面に切りくずが溶着することがあります。特にステンレスやアルミといった延性に富んだ材料で起きやすいです。このトラブルを抑制するためにはカッターの側面が当たらないようにマージンを小さくすることや、切りくずが排出されるようにニゲを強くすることで溶着を防ぐことが出来ます。また、コーティングを付加してカッターとワークの親和性を抑えることも有効です。

2.刃先の欠損・破損が発生する

被削材が高硬度材で工具材質に近い硬度を持つ場合には、工具の欠損や破損が起きやすくなります。 その場合には、工具材質の見直しを行い、その上で被削材に合った加工条件にする必要があります。当社では高硬度材用コーティングを提案しております。また、超硬にする事も方法の一つです。

3.寿命が短い

新品から寿命を迎えるまでの加工時間数量を延ばすためには、再研磨を定期的に行い、摩耗した状態のカッターを使用し続けないことが重要です。摩耗した状態の工具を使い続けると摩耗は二次曲線的に進行し、再研磨する量もこれに乗じて増えてしまいます。結果、再研磨回数を増やせず、最悪の場合、使い捨てということもあり得ます。まだ加工できる状態であっても、砥石でスクイ面を軽く研磨して、刃を立てることを小まめに行うことで寿命は格段に延びます。

 

当社の工具事例をご紹介

2枚刃キーシーターカッター

こちらはFA、生産設備業界で使用されるサイズが9.5×8×70のハイス製2枚刃キーシーターカッターです。お客様の既存工具ではロット内の刃幅精度のバラツキがあり、品質が安定していないためにご依頼をいただきました。特殊精密切削工具.comでは刃型公差に対して設定見直しを行い、ロット内バラツキを最小に抑えることが出来ました。その結果、ロット内のバラツキが無くなり、安定して加工が行えるようになりました。

>>加工事例はこちら

タカラキーシーターカッター

こちらは半導体業界で使用されるサイズが14×14×35のハイス製キーシーターカッターです。被削材によって工具寿命に差が出てしまうために改善して欲しいとご依頼をいただきました。特殊精密切削工具.comではお客様に対象となる被削材と加工条件を伺い、被削材に合わせた刃型設定とコーティングを提案しました。被削材に合わせたキーシーターカッターを使用した結果、工具寿命が安定し管理が楽になりました。

>>加工事例はこちら

タカラキーシーターカッター

こちらは産業機器業界で使用されるサイズが17.5×12×361のハイス製タカラキーシーターカッターです。現在使用するキーシーターカッターは摩耗速度が速いために刃具の寿命を延ばしたいとご依頼をいただきました。特殊精密切削工具.comでは実際に使用されている刃物をお借りし、損傷具合や摩耗状況を確認して、すくい角、ニゲ角、マージンの設定を見直しました。工具を見直した結果、寿命が約2倍に延ばすことに成功しました。

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