技術コラム

- Column -

段付きドリルのよくあるトラブルとその対策

はじめに

機械加工に従事する多くの方々にとって欠かせない切削工具。しかし、切削工具を使用する上で、チッピングや折損、切りくずの詰まり等のトラブルが起きてしまう場合があります。トラブルに対し、最適な対策をしなければ加工コストの増加のみならず、加工品質の低下に繋がりかねません。今回は、段付きドリルにおいてよくあるトラブルとその対策について解説します。

 

段付きドリルの用途・メリット

段付きドリルのよくあるトラブルとその対策|特殊精密切削工具.com

段付きドリル(英語:step drill)とは、刃径が2段以上あり、一度の加工でワークに対して2段、3段の異なる径の穴を開けられるドリルです。

通常、複数の異なる径の穴を開ける場合、あるいは穴開け+面取り・バリ取りが必要な穴加工の場合は、複数工程が必要になります。ただし、別々の工具を使用してしまうと、どうしても前後工程で工具中心にズレが生じてしまい、段付き穴や面取りの同軸度が低下してしまいます。

段付きであるため一工程で面取りまで加工できることから、同軸度が保証される、且つ複数のドリルを使用する必要が無いためサイクルタイムを短縮できるというメリットがあります。

 

段付きドリルのよくあるトラブルとその対策

段付きドリルについて、お客様からご相談を頂くことが多いトラブルは以下の3つです。

  1. ドリル刃先の折損
  2. 切屑の巻き付き
  3. 加工径寸法が出ない

各々のトラブルの要因とその対策について解説します。

①ドリル刃先の折損

切屑の排出性が悪いと、ドリル刃先が折損しやすくなってしまいます。また、”小径φ1mm/大径φ10mm”のように加工径の段差が大きい段形状において、ウェブ厚を小径のφ1mmに合わせると、大径のウェブ厚が足りず剛性が無くなってしまう場合も折損を招きます。対策としては、ウェブ厚・溝幅比の見直しによるねじれ溝形状の見直し、あるいはオイルホール付き仕様及びコーティング仕様の改善が有効です。

②切屑の巻き付き

切屑がドリルに巻き付いてしまう原因は、切屑が分断されず繋がった状態で排出されることにあります。①先端にニック刃を設ける、②切屑が分断されるよう適正なステップを入れる、という対策で改善することができます。

③加工径寸法が出ない

加工径が広がってしまうのは、ドリルがワークに喰いついた際のシンニングが機能していないために工具が暴れることや、リップハイト差が大きいことが原因として考えられます。特殊精密切削工具.comでは、①適正なシンニングの選定、②振れの抑制、③送り速度に対する逃げの見直し、という3つの対策を提案しています。

 

特殊精密切削工具.comの特注段付きドリル

段付きドリルのよくあるトラブルとその対策|特殊精密切削工具.com

特殊精密切削工具.comでは、折損や切屑の巻き付き、ツールマークの発生を抑制し、高精度・高品質な加工を実現できる段付きドリルの開発・設計・製作のノウハウがございます。

新規の段付きドリルの開発はもちろん、既存の段付きドリルの改造や、大径・小径ドリルの併用から段付きドリルへの一本化によるサイクルタイム短縮などの実績も豊富です。

特殊精密切削工具.comを運営する株式会社東鋼では、自社保有のCNC工具研削盤で段付きドリルを高精度に仕上げています。そのため、当社の段付きドリルで加工した2段穴は、極めて高い同軸度を実現することができます。

 

特殊精密切削工具.comの段付きドリルの技術提案事例

特殊精密切削工具.comが、既存の段付きドリルが抱えていたトラブルを技術提案により解決した事例をご紹介します。

段付きドリルのシンニング形状を見直すことで折損防止

「使用している段付きドリルの先端部が頻繁に折損してしまう・・・」というご相談がありました。

折損の原因は切りくず詰まりによる場合や工具の剛性不足による場合など、様々な原因が考えられます。そのため、「折損の原因調査から抑制までお願いしたい」とご依頼いただきました。

>>特殊精密切削工具.comの技術提案はこちら

ウェブ厚を最適化した特注段付きテーパードリルの開発

標準品のドリルを追加工して特殊ドリルとして使用していた自動車部品メーカー様より、「品質にバラツキが発生しており、工具寿命も安定しない・・・」というご相談を頂きました。

当社で該当工具を拝見したところ、標準品のドリルに追加工を行っていたことから、適切なウェブ厚ではないということが判明しました。ウェブ厚が薄いと、剛性が劣り、工具の折損が発生しやすくなる傾向にあります。

>>特殊精密切削工具.comの技術提案はこちら

 

特殊精密切削工具.comの段付きドリルの特注製作事例

特殊精密切削工具.comが過去に製作した特注段付きドリルをご紹介します。

①φ8×70 超硬製段付きドリル

こちらは輸送用機器業界で使用されるサイズがφ8×70の超硬製段付きドリルです。

お客様で使用されていた段付きドリルでは先端部が頻繁に折損していたため、折損を抑えたいとご依頼いただきました。特殊精密切削工具.comで切屑の排出性向上を狙い、シンニング形状を見直しました。

>>詳しくはこちら

②φ6.4×102 ハイス製段付きドリル

こちらは自動車業界で使用されるサイズがφ6.4×102のハイス製段付きドリルです。

お客様より加工時間の短縮を図りたいというご依頼をいただきました。特殊精密切削工具.comではワーク寸法、使用機種を確認し段付きドリルの提案を行いました。

>>詳しくはこちら

③段付きドリル 医療用

人工関節置換手術や骨折時に埋入するプレート固定用のスクリューの下穴用に使用するドリルです。工具材質は ステンレス(SUS630、SUS420J2)、径公差レンジは5~10㎛に仕上げています。

>>詳しくはこちら

段付きドリルに関するよくある質問

段付きドリルに関してお客様からよく頂くご質問をまとめております。

Q.段付きドリルの再研磨は可能ですか?

A.可能です。小さいものでは小径φ3.0mm・大径φ4.7mm、大きいものでは小径φ12.0mm・大径φ14.0mmの段付きドリルの再研磨実績がございます。再研磨をすると全長、刃長、溝長が短くなります。ここで重要なのは先端を詰める長さになります。詰め過ぎてしまうと形状が機能を果たさない場合があります。そのため、再研磨の際は機能を阻害しない長さに詰める事が重要です。

>>詳細はこちら

Q.小径1.3mmで大径1.5mmの段付きドリルの製作はできますか?

A.はい、製作可能です。過去に小径1.3mm、大径1.5mmの段付きドリルの製作実績がございます。
また、当社では、極小(小径0.7mm、大径1.1mm)の段付きドリルの製作実績もございます。極小径での製作や何か困ったことがありましたら、お気軽にご相談ください。

Q.ザグリ加工用の段付きドリルは製作可能ですか?

A. 可能です。段付きドリルでザグリ加工をする場合、大径の刃型をろうそく型、一文字型にします。これにより、通常のドリルの刃型ではテーパー面になってしまう部分(ザグリ底面部分)を、平面にすることができます。当社では、お客様のご希望・ご要望から、刃径、刃型、材質、コーティング等の最適な条件の工具をご提案させていただきます。加工形状、工具形状でお困りの際は、ぜひ当社にご相談ください。

Q. 樹脂に下穴を開けるための段付きドリルの製作はできますか?

A. 可能です。過去には、小径φ0.7mm、大径φ1.1mmの樹脂加工用段付きドリルを製作した実績がございますが、その際はバリが大きくならないようにネジレ角や刃型形状を特殊な形状にしました。当社では、鉄材・樹脂だけではなく、多種多様な被削材に適した切削工具の製作も可能です。 切削工具でお困りの際は是非当社にご相談ください。

Q.単品・試作だけの依頼でも対応していますか?

A.はい、可能です。当社はお客様の製品の使用環境に合わせて材料の選定から工具の設計をご提案させていただいております。設計段階から対応することで工具の長寿命化やコストダウン提案をさせていただきます。

Q.ドリルの製作納期はどのくらいですか?

A.当社は新規にご依頼を頂いた場合は作図日数も含めて約3週間程度頂いております。さらにお急ぎの場合には最短で1週間でも製作可能であるため、納期に関しまして一度ご相談ください。ただドリルの母材が無い場合には別途材料購入納期がかかりますので、お打ち合わせ頂けますと幸いです。

Q.ドリルはどのようなコーティングが出来ますか?

A.当社では工具に必要となるコーティングのほとんどに対応可能でございます。TiNを始めTiCN、TiAlN、DLCコーティング等をはじめとした、各種最新のコーティング膜種を被削材・加工条件に合わせ提案いたします。

 

段付きドリルの開発・設計・製作なら、特殊精密切削工具.comにお任せください

今回は、段付きドリルのよくあるトラブルとその対策、そして技術提案事例及び特注製作事例について解説しました。段付きドリルの新規開発や既存の段付きドリルの改造をご検討の際は、「切削理論」と「材料特性」を熟知している特殊精密切削工具.comにご相談ください。

当社では創業から86年以上、お客様のご要望に合わせてオーダーメードの工具を開発・製造してまいりました。お客様それぞれに世界一の究極の逸品の工具を作り上げることをモットーに最先端設備を揃えており、高精度な加工を実現する環境を整えてまいりました。工業界から医療業界と「人体から宇宙まで」幅広く、精度が必要な工具の納品実績が多数ございます。

段付きドリルの開発・設計・製作なら、特殊精密切削工具.comまでお問い合わせください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

>>特殊段付きドリル 開発サービスはこちら

>>切削工具に関するあらゆる情報や事例をまとめた資料の無料ダウンロードはこちら

>>お問い合わせはこちら