技術コラム

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ステンレス製切削工具の用途とメリット

はじめに

切削工具に使用される材質というと、超硬・ハイスが代表的ですが、ステンレス製の切削工具も使用されることがあります。ステンレス製切削工具は、どういった場面・用途で使用されるのか、どういった特徴・メリットがあるかについて、ステンレス製切削工具の製造実績を多数もつ特殊精密切削工具が解説します!

なお、ステンレスのワークを加工する切削工具については、こちらから事例をご覧いただけます。
>>ステンレス加工用の切削工具

 

ステンレス製切削工具の用途とメリット

ステンレス製切削工具の用途とメリット|特殊精密切削工具.com

ステンレス製切削工具には、

  • 食材・食品加工用工具
  • 医療用術具

という2つの用途があります。

食品や医療向けにステンレス製切削工具が使用されるのは、高い耐食性に加えて、食品加工用工具の材質としてNG(基準値以下にする必要がある)と食品衛生法に規定されている鉛・アンチモンを含有していないというメリットがあるためです。

「食品加工用切削工具の材質にステンレスを使用しても本当に大丈夫なのでしょうか?」と不安になられる方もいらっしゃるかと思いますが、上記の通り生体適合性(生体に有害な影響を及ぼさない性質か)の確認が取れていますので、ご安心ください。

 

ステンレス製切削工具の製造が難しい5つの理由

ステンレス製切削工具の用途とメリット|特殊精密切削工具.com

ステンレス製切削工具は、超硬・ハイス製の切削工具に比べ、製造が難しいと言われています。
具体的には、以下の5点にまとめられます。

  1. 強度が高く熱伝導性が低いことから、研削しづらい上に加工時の熱が逃げないため、工具が傷みやすい
  2. 超硬・ハイスと比較して軟らかいため、加工時にたわみが発生しやすい
  3. 超硬・ハイスと比較して粘っこいため、砥粒が失われやすく摩耗が激しい
  4. 加工時に発生するバリが超硬・ハイスよりも大きいため、形状が安定しづらい
  5. 超硬・ハイスと同様に研削をすると、砥石の目詰まりが発生しやすい

特にステンレス材の研削加工技術を確立するのは極めて難しく、ステンレス製切削工具を取り扱っている切削工具メーカーは非常に限られます。

 

特殊精密切削工具.comによるステンレス製切削工具の特注製造

ステンレス製切削工具の豊富な製造実績

特殊精密切削工具.comは、食品や医療向けの特注ステンレス製切削工具の製造実績が多数ございます。

食品加工用途では、野菜のヘタ取りドリルや冷凍肉加工用エンドミルなどの実績がございます。前者は、切削面を必要以上にキズ付けず、綺麗にヘタをくりぬけるように先端形状をローソク型にしました。後者は、刃径をφ25mmに設定することにより、刃に剛性を持たせて、一度に多量の切削をできるようにしました。

医療向けでは、医療用オメガドリル・医療用テーパーリーマ・医療用タップ・医療用段付きドリルなどを製造しております。

ステンレス製切削工具製造への挑戦の歴史と業界屈指の研削加工技術

特殊精密切削工具.comは、医療分野への参入を決めた2006年以降、それまで培った工具開発・製造の技術・技能を駆使してステンレスの研削加工に挑戦しました。挑戦当初は、当社内で技術確立されていた超硬・ハイスと同じような研削加工は通用しませんでした。

しかし、砥石のスペック改善や加工条件の見直しなどを重ねた結果、加工時の傷みやたわみ・バリ・砥粒の摩耗・目詰まりといった諸トラブルを克服し、ステンレス製の食品加工用工具・医療用術具の製造が可能になりました。

当社が、技術的に難しいステンレスの研削加工を可能にした背景には、高精度研削加工を得意とするSchuette製の高精密5軸CNC研削盤、325Linear、335Linearがあります。

ステンレス製切削工具の用途とメリット|特殊精密切削工具.com

両者のX,Y,Z軸にはリニアモータが採用されており、高精度な位置決めが可能です。高い位置決め精度と繰り返し精度によって、一般的に加工が難しいΦ1以下の小径工具や長尺形状の工具についても、安定した品質での提供を可能にしています。 さらに、X軸にサポート(ワークの支え)を搭載しており、片持ちはりとなってしまうワークのたわみを軽減できるため、小径長尺物の加工を得意としております。
>>高精密5軸CNC研削盤 Schuette325linear
>>高精密5軸CNC研削盤 Schuette335linear

 

特殊精密切削工具.comが得意とするステンレス製切削工具の種類

当社では、SUS420J2SUS630という2種類のステンレス製切削工具の製造実績が多いです。硬度を必要とする場合はマルテンサイト系ステンレス鋼のSUS420J2、低い硬度 (HRC43程度)でもよい場合は析出硬化系ステンレス鋼のSUS630を採用します。

SUS420J2は、SUS630に比べて炭素量が多くクロム量が16%以下のため、耐食性は劣りますが、炭素量が多いため硬度が高くなります。耐食性は、不動態化処理で補います。

一方SUS630は、SUS420J2よりも炭素量が少なくクロム量が18%付近で、さらにニッケルを含んでいるため、硬度は若干劣りますが、優れた耐食性を備えています。

 

特殊精密切削工具.comによるステンレス製切削工具の特注製造事例

特殊精密切削工具.comが過去に製造したステンレス製切削工具をご紹介します。

①SUS製 食品加工用座ぐりカッター

こちらは、食品加工用の座ぐりカッターです。

材質は、耐食性・サニタリー性が高いステンレスを採用しております。野菜や果物のヘタを取る用途で使用される切削工具です。

>>詳しくはこちら

②テーパーリーマ 医療用

こちらは、人工関節やインプラントを埋め込む際にドリルで開けた穴を大きくするためのリーマです。

特殊精密切削工具.comでは、フレキシブルシャフトに取りつけて使用するタイプや、コーン形状のリーマなど様々な形状で製造することが可能です。

>>詳しくはこちら

③段付きドリル 医療用

こちらは、人工関節置換手術や骨折時に埋入するプレート固定用のスクリューの下穴用に使用するドリルです。

径や長さは治療する部位、シャンク形状はご使用される器械に合わせてカスタムしてオーダーメイドで製造いたします(最少径:Φ1、最長600mm)。

>>詳しくはこちら

ステンレス製切削工具の開発・設計・製造なら、特殊精密切削工具.comにお任せください

今回は、ステンレス製切削工具について解説しました。ステンレス製切削工具の新規開発や既存工具の改造をご検討の際は、「切削理論」と「材料特性」を熟知している特殊精密切削工具.comにご相談ください。

当社では創業から86年以上、お客様のご要望に合わせてオーダーメイドの工具を開発・製造してまいりました。お客様それぞれに究極の逸品の工具を作り上げることをモットーに最先端設備を揃えており、高精度な加工を実現する環境を整えてまいりました。工業界から食品業界、医療業界と「人体から宇宙まで」幅広く、精度が必要な工具の納品実績が多数ございます。

ステンレス製切削工具の開発・設計・製造なら、特殊精密切削工具.comまでお問い合わせください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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