技術コラム

- Column -

ローソクドリルと一文字ドリルの違いとは?

はじめに

ローソクドリルと一文字ドリルの違いとは?|特殊精密切削工具.com

今回は、混同されることが多いローソクドリルと一文字ドリルをテーマに、両者の違いや、一般的な穴開けドリルと比較した際の各々の特徴について、切削工具のプロフェッショナルが詳しく解説します。

 

ローソクドリルとは

ローソクドリルは、断面がローソクのような形をしているため、求心性が良く通り抜け時のショックが少ないといった特徴を持つドリルで、主に薄板の穴あけ加工の際に使用されます。

一般のドリルで薄板加工をする際、抜け際でのワークのバタツキ、ワークの変形等で加工の安全性が損なわれ危険であるため、ローソクドリルが使用されます。中芯刃のガイドによりワークが安定し塑性変形が垂直に作用することにより、バリを低減させ安全な加工が可能となります。

 

一文字ドリルとは

一文字ドリルとは、一般的な切削工具の刃先角度が118°であるのに対し、“一文字”のように、刃先をほぼ180°に研いだドリルです。

一文字ドリルを使用して薄板の穴あけを行うと、

  • ドリル中心部より外周部の方が先に抜けるため、抜けバリを低減させることができる
  • 貫通時にセンターを失うことが無いため、真円度や位置精度の改善を期待できる

といったメリットがあります。

 

ローソクドリルと一文字ドリルの違い

ローソクドリルと一文字ドリルの違いは、先端形状にあります。

ローソクドリルは、上図左のように先端の中心部が突出しており、中心部から外周部に向かってのテーパーまたは中心部と外周部の間がくぼんでいる形状になります。一文字ドリルは、ローソクドリルと同様に先端の中心部が突出していますが、中心部から外周部が水平になっています。

ローソクドリルは主に薄板の穴あけに用いられる一方、一文字ドリルは薄板の穴あけのほか、ザグリ加工にも用いられます。

 

特殊精密切削工具.comの特注ローソクドリル・一文字ドリル

ローソクドリルと一文字ドリルの違いとは?|特殊精密切削工具.com

特殊精密切削工具.comでは、ローソクドリル・一文字ドリルの刃型加工に、Schuette製の高精密5軸CNC研削盤、325Linear、335Linear を使用しています。

両者のX,Y,Z軸にはリニアモータが採用されており、高精度な位置決めが可能です。高い位置決め精度と繰り返し精度によって、一般的に加工が難しいΦ1以下の小径工具や長尺形状の工具についても、安定した品質での提供を可能にしています。

 

特殊精密切削工具.comによるローソク工具・一文字工具の技術提案事例

特殊精密切削工具.comが、既存のローソク工具・一文字工具が抱えていたトラブルを技術提案により解決した事例をご紹介します。

先端形状を見直してバリ発生を抑制

「貫通穴をリーマで加工している際に、出口側にバリが発生してしまい困っている」とのことで、ご相談をいただきました。
そこで特殊精密切削工具.comは、リーマ先端形状をローソク形状に設定し、バリ発生を防ぐリーマをご提案いたしました。

>>特殊精密切削工具.comの技術提案はこちら

 

特殊精密切削工具.comによるローソクドリルの特注製作事例

特殊精密切削工具.comが過去に製作したローソクドリルをご紹介します。

①樹脂加工用 段付きローソクドリル

こちらは、樹脂部品加工用の段付ドリルです。

産業機器向け部品メーカーのお客様より、「樹脂チューブにφ0.7の穴を開けたいのですが、バリの発生に困っています。どうすればよいでしょうか?」というご相談を頂きました。そこで特殊精密切削工具.comは、先端がローソク形状の段付きドリルを提案し、先端角やニゲ角の設定を変更して鋭利にしました。

>>詳しくはこちら

②ローソクドリル

こちらは航空宇宙業界向け部品の加工に使用される、φ4.8×73のハイス製ローソクドリルです。

柔らかいアルミを加工する際に発生する抜けバリを抑えたいということで、ご依頼いただきました。そこで特殊精密切削工具.comで刃先をローソク形状にし、先端角を加工条件に合わせて設定することを提案しました。

>>詳しくはこちら

ローソクドリル・一文字ドリルに関するよくある質問

ローソクドリル・一文字ドリルに関してお客様からよく頂くご質問をまとめております。

Q.単品・試作だけの依頼でも対応していますか?

A.はい、可能です。当社はお客様の製品の使用環境に合わせて材料の選定から工具の設計をご提案させていただいております。設計段階から対応することで工具の長寿命化やコストダウン提案をさせていただきます。

Q.ドリルの製作納期はどのくらいですか?

A.当社は新規にご依頼を頂いた場合は作図日数も含めて約3週間程度頂いております。さらにお急ぎの場合には最短で1週間でも製作可能であるため、納期に関しまして一度ご相談ください。ただドリルの母材が無い場合には別途材料購入納期がかかりますので、お打ち合わせ頂けますと幸いです。

Q.ドリルはどのようなコーティングが出来ますか?

A.当社では工具に必要となるコーティングのほとんどに対応可能でございます。TiNを始めTiCN、TiAlN、DLCコーティング等をはじめとした、各種最新のコーティング膜種を被削材・加工条件に合わせ提案いたします。

 

ローソクドリル・一文字ドリルの開発・設計・製作なら、特殊精密切削工具.comにお任せください

今回は、混同されやすいローソクドリルと一文字ドリルについて解説しました。ローソクドリルや一文字ドリルの新規開発や既存工具の改造をご検討の際は、「切削理論」と「材料特性」を熟知している特殊精密切削工具.comにご相談ください。

当社では創業から86年以上、お客様のご要望に合わせてオーダーメイドの工具を開発・製造してまいりました。お客様それぞれに世界一の究極の逸品の工具を作り上げることをモットーに最先端設備を揃えており、高精度な加工を実現する環境を整えてまいりました。工業界から医療業界と「人体から宇宙まで」幅広く、精度が必要な工具の納品実績が多数ございます。

段付きドリルの開発・設計・製作なら、特殊精密切削工具.comまでお問い合わせください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

>>特殊段付きドリル 開発サービスはこちら

>>切削工具に関するあらゆる情報や事例をまとめた資料の無料ダウンロードはこちら

>>お問い合わせはこちら